薄毛と飲酒にはどのような関係があるのか
アルコールを飲み過ぎると、抜け毛やハゲの原因になるといった噂を聞いたことはありませんか?
「飲酒は体にとって良くない、肝臓に負担がかかる」
このことは誰しもが知っていますが、果たして髪の毛と飲酒にはどのような関係があるのでしょうか?
今回は髪の毛と飲酒の関係について、なぜ薄毛の原因と言われているのか、お酒を飲む場合のおすすめの量やお酒の種類を解説します。
医学的な根拠はない
実は、酒(アルコール)が髪に及ぼす影響について医学的根拠はありません。
まずこれだけは頭に入れておきましょう。
お酒の飲みすぎて薄毛になるとしたら、アルコール依存症の人はみんな薄毛になってしまいます。しかし実際には、アルコール依存症でも髪の毛がフサフサな人はたくさんいます。そのため、過度にお酒を飲んだからといって薄毛が進行すると悲観的になる必要はありません。
とはいえ、体の健康と髪の健康は密接に関係しています。
「アルコールは体に負担をかける飲み物である」事実は変わらないため、飲みすぎは避けるようにしましょう。
アルコールがハゲる原因と言われる理由
それでは、お酒がハゲの原因と言われるのはなぜでしょうか?
前述では、アルコール(お酒)は薄毛との関連性について医学的根拠はないとお伝えしましたが、発毛技能士として薄毛改善の現場で働いている私としては、飲みすぎ・飲酒量が多い人は髪の発育に影響があると感じています。
普段から毎日350mlの缶チューハイを2~3本飲んでいる人と、全くお酒を飲んでいない人の健康の指標(頭皮の色や毛細血管の状態)の差は歴然です。
このような結果は、日常的にお酒を飲む人の方が髪の毛に必要な栄養が足りていないとことによるものです。
肝臓への負担が大きいから
なぜ髪の毛の成長に必要な栄養が足りていないのか、それは、お酒を代謝するために肝臓で大量の栄養分が消費されているからです。肝臓でたくさんの栄養を消費した結果、髪の発育に必要なビタミンやタンパク質などの栄養分が不足してしまうのです。
口から入ったアルコールは、胃で20%、小腸で80%が吸収されて、そのほとんどが肝臓で分解処理されます。アルコールは次のように分解されています。
- アルコ-ルが肝臓へ届く
- ADH(アルコ-ル脱水素酵素)により有害物質アセトアルデヒドへ変換
- ALDH(アルデヒド脱水素酵素)の働きでアセトアルデヒドを無害な酢酸へ変換
このアルコール分解は、一般的に日本酒180mlであれば3時間程度で分解されます。
つまり飲む量が多いほど肝臓がアルコールを分解処理のために働き、栄養を消費しています。
体の栄養は生命に必要な臓器に優先的に運ばれていて、髪の毛や爪に栄養が届くのは最後なのです。髪の毛に届く分の栄養が少なかったり残っていない状態が続くと当然髪は細くなったり、抜けてしまいます。日光や水が十分でないと植物は元気がなくなり枯れてしまうのと同じことです。
中性脂肪が増えるから
また、アルコールを取り過ぎることで、肝臓の細胞に中性脂肪が大量に合成されるという原因もあります。慢性的にアルコールと飲み続けると、どんどん肝臓に脂肪が蓄積して最終的には脂肪肝が起こりやすくなります。
余分な中性脂肪はさらに血液中にも流れ込み、血液の質を低下させてしまうのです。その結果、頭皮の毛細血管まで血液が届きづらくなり、栄養不足となった髪は、やせ細り抜け毛となってしまうのです。
お酒との上手な付き合い方
ここまで読むと、お酒をとるか髪の毛をとるかの2択しかないように感じてしまっているかもしれません。お酒が好きな方は突然飲むのをやめることはすごく難しいですよね。しかし髪の毛を気にしないのも難しい…。
しかしご安心ください。アルコールと正しく付き合うことで、抜け毛や薄毛への影響を減らすことができます。
方法としては大きくわけて次の2つがあります。
- 飲む量を守る
- お酒の種類を選ぶ
次の項から説明していきます。
飲む量を守る
お酒は節度ある付き合いをすることが大切です。飲む量が増えればそれだけ肝臓の負担は大きくなります。
飲み会など楽しくてついつい飲みすぎてしまうのはよく分かりますが、ぐっとこらえて適正量を守ることを心がけましょう。ご自身の体のため、そして何より素敵な髪型でいるためです。
また、「飲む量は少ないけど、休肝日が1日もない」なんてことはありませんか?
量が少ないから問題ないと思いがちですが、少量でも毎日肝臓は働き通しになっています。最初は1日置きに休肝日を作るなどして意識して休ませてくださいね。
お酒の種類を選ぶ(育毛効果も?)
お酒には様々な種類がありますが、飲むお酒の種類によっては育毛効果も期待できるお酒があることをご存知でしょうか?今回は、育毛効果も期待されているお酒も紹介します。
1.熱燗
熱燗は、α-グルコシルグリセロール(α-GG)といったものが含まれており、胃の知覚神経を刺激して全身のIGF-1を増やすことが十分に期待されています。IGF-1とは成長因子と言われる髪の毛の成長に欠かせないものです。
2.赤ワイン
赤ワインには、ポリフェノールの一種である「レスベラトロール」が含まれています。こちらも熱燗と同様に、体内のIGF-1を増やす効果が期待されています。
特に、胃や腸は温かい方がこれら成長因子が刺激されやすいため、お酒を飲むときは冷たいお酒より、ホットワインや熱燗がおススメとなります。
もちろんこれらのお酒も肝臓が分解しますので飲みすぎはNGですよ。
最後に
やはり体にとっては、お酒は付き合い方が大切だとお分かりいただけたかと思います。
抜け毛や薄毛を自分で治したい人は、完全に禁酒をしなければいけないといった事はありません。節度をもって接していれば問題ありませんよ。
選び方次第では育毛効果も期待できるとわかりましたね。また養命酒などは健康に良く冷え性の改善などに効果を発揮します。
お酒を普段から飲んでいて薄毛・抜け毛に悩んでいる方は下記の中からできることを始めてみましょう!
- まずは記録を付けてどの程度(量・頻度)飲んでいるか把握する
- 飲む量をセーブする
- 飲む頻度を減らす(休肝日を作る)
- 体に良いお酒に変える
最初から完全に禁酒しようとすると失敗の可能性が上がります。まずは現状を把握し、とても小さいことを継続してだんだん減らしていきましょうね。たまにはたくさん飲んでしまう日があってもそこでヤケにならずに継続すれば必ず良い方向に向かいますよ。
もしやる気を失ったらYouTubeをのぞいてみてくださいね。
次の動画はお酒と薄毛に関する動画です。